yo-17

   どじょう掘り



子供の頃、父からいろいろの釣りを教わった。 だいたい浮子のついた糸の先に、曲がったU字型の針を付け、
みみずさし(サバ虫とも言って生魚に涌かせた蛆虫)を付けて釣る方法だったが、
小鮒ややまべ(オイカワ)を釣った。 ごくたまに、なまずうなぎも掛かった。
釣り場は浦和近郊に沢山あった。

川や溜まり水に浮子を流し、浮子の流れの変化に竿を上げれば面白いほど釣れた。
どじょうや手長えびは、口が小さいので、特別なかたちの釣り針でないと釣れなかった。

釣り糸も今のように、細くて強いナイロン・テグスなんてものは無かったから
すぐに切れて、父に面倒を掛け・・・仕掛けの作り方も覚えた。
粗末な釣り糸で、松の樹の害虫「白髪大夫」の腸?から造る本テグス等は子供には貴重品だった。
毛虫の頭と尻尾を掴んでビーッと引っ張ると透明な糸が出来た。
普通人絹じんけん糸か、<渋糸>といって縫い糸を柿の渋で染めた釣り糸だった。

田んぼに水が引かれてないときは、スコップで田んぼの土を掘り起こすと、みみずみたいに
どじょうが捕れる餌の要らない…さかな釣り?もあった。そうそう捕れるものではなく効率は悪かった。
田んぼや掘割に田植えの水が引かれてから、人影におびえぱっと煙幕のように、動くのを追った方が、確実だった。

錨型の大きめな針に、凧糸で蛙を括り付けぽちゃぽちゃと水藻や睡蓮の上を叩く<ボカン釣り>と云う釣り方は
大物のなまずや雷魚が飛び付いて来て掛かるので普通のつり竿でなく、糸も1m位の凧糸で、太い特別な竿を使った・・・
他人さまが大物を吊り上げるのは見たが、自分では一度も掛かったことがない。<夢を釣ってた>だけなのだ。

今流行のルアー釣りの原点みたいな釣りかたで、無論まだブラック・バスなんて外来種の魚は居なかった。
ブラック・バスなんて外来種の魚は、日本の魚の生態系を大きく変えてしまった。
切実に感じてる人は少ないが、<生態系の変化>とは恐ろしい事なのだ!!

私の釣りの師匠<父>の批判をするのは、罰が当たりそうだが、お世辞にも上手くなかった。
子供の目からみても<ぶきっちょ>な人で、それでもわたしの面倒をみてくれた。
子供のわたしがじっくり待つ釣りをしたのに、ちょっと当たりが無いとせこせこと移動する追う釣りだった・・・
結果は何時もわたしの方が沢山釣ったものだった・・・

亡くなる5-6年ほど前に、家内と二人で父を田んぼのほそに連れ出し、なまずが釣れて喜んだのが、
父の(90才)最期の釣りだった… 三途の川に魚がいるなら父と釣りをしてみたい。




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